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2023年9月4日

井上研究室が「夏のiPS発表会」を開催しました

 7月26日(水)午前、井上治久教授増殖分化機構研究部門)の研究室が「夏のiPS発表会」をCiRAの講堂で開催しました。井上研究室は、脳神経疾患を中心とした病気の研究や治療法の研究を主に行っています。

 井上研究室メンバーのみが参加するイベントでしたが、サイエンスコミュニケーターの三澤和樹が、最新の研究情報に触れラボの活動を知るために伺いました。この記事ではその様子をお伝えします。

夏のiPS発表会 開会の挨拶

 井上教授は、CiRAのほかにもいくつかの研究拠点で研究を行なっており、30数人からなるラボを主宰しています。今回、ラボで研究をしている学生を中心としたメンバー18名がそれぞれの研究内容を発表し、研究に対するモチベーションや研究能力を高める機会として「夏のiPS発表会」が実施されました。発表者のなかには、教員として研究室の学生を指導しながら、自らの研究も進めている講師や、他の研究拠点や病院にいながら研究をしている若手研究員などを含む研究者だけでなく、つい数ヶ月前にラボに入ってきたばかりの学部大学生もいました。

 「みなさんはこれまでにたくさんの努力を重ねられて、今、この研究室で研究をされていると思います。しかし、さらにその先に向かってチャレンジをしていくことで成長することができ、目標の達成に近づくことができると思います。今日はみなさん研究発表をして、お互いにディスカッションしましょう」と井上教授が挨拶し、発表会が始まりました。

 CiRAでは海外出身の研究者や留学生がいることなどから、所内の研究発表では質疑応答も含め英語が用いられます。この発表会も英語で行われました。発表の持ち時間は、質疑応答を含めて一人につき10分間でした。3時間にわたる長丁場でしたが、熱心に互いにメンバーの発表を聞いていました。

(左から)発表を行った鈴木英文研究員、
小籔直生大学院生、中島幸太郎学部学生

 発表者は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)やアルツハイマーなど、各自が取り組んでいる自身の研究対象について、まず背景となる情報を簡潔に説明し、その後研究で達成したいこと、明らかにしたいことを紹介し、現時点での研究成果を共有しました。

 質疑応答では、発表者も考えさせられる鋭くも興味深い質問がたくさん投げかけられていました。途中、学生たちは、井上教授から実際の学会と同様に発表者に対して質問することを促される場面もあり、それぞれの関心のもとに質問をしていました。

 発表した研究員や学生にお話を聞いたところ、普段は別の拠点で研究しているメンバーも参加しているので、お互いの研究について細かな情報交換をすることができてよかったという声がたくさんありました。初めて英語で研究発表した学生の1人は、「日本語でも難しいのに、英語で話すということでとても大変だったが、研究員の方の発表の構成やスライドなどがとても参考になった」と語っていました。

質問に答えるMariam Mepistsveridze研究生

 この発表会を聴講し、井上研究室では、まだ治療法がない脳神経疾患の治療法を科学の力で見つけだすために、幹細胞やマシンラーニング(機械学習)などの最先端技術をフル活用して研究を進めていることがわかりました。また、ラボの方針として、各自の「こんなことができればいいな、知りたい、やってみたい」という思いから具体的な研究テーマを決めて研究に取り組むスタイルを採用しているとのことで、研究に対するモチベーションを大切にしているように感じました。

 実はこの「夏のiPS発表会」としてほぼすべての研究拠点のメンバーが集合して発表することは、初めてなのだそうです。「メンバーが研究に対するモチベーションを高め、発表するために努力をした自分自身、そして研究していることを誇りに思ったり、チームワークを感じて研究に取り組むための機会になればと思っています」と井上教授。そして、この発表会が「研究室の目標でもある病気に対するミッションを再確認し、ラボのすべての立場のメンバーがそれぞれの未来に何らかの形で役立つ機会となれば」と続けました。

 CiRAには約30の研究グループがあります。各研究室では、主宰者である主任研究者と、さまざまな立場や背景のメンバーが研究を進めています。一つの研究グループとして研究を進めていくためには、技術や事務などのサポートが不可欠で、毎日の研究指導やコミュニケーションが重要なのかなと感じました。発表会の後、普段は一同に会うことがなかなか難しい井上研究室のメンバー全員で一緒に昼食を楽しまれたそうです。

 この記事では、普段はなかなか知ることのできない、井上研究室内のコミュニケーションを垣間見てご紹介しました。

 最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。井上研究室の取り組みや、CiRAでの研究に関心を持っていただければありがたいです。井上教授の研究の詳細については、以下をぜひご覧ください。

  1. この記事を書いた人:三澤 和樹
    京都大学iPS細胞研究所 国際広報室
    サイエンスコミュニケーター
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