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2024年2月2日

CiRA研究インターンシップ生インタビューvol.6
-人生を変える経験:異国の地で多国籍チームと一緒に働くということ-

CiRAのオープンラボでのホセ・パオロ・アグイラルさん
(フィリピン大学ディリマン校)

 フィリピン大学ディリマン校修士課程に在籍中のホセ・パオロ・アグイラルさんが、CiRA研究インターンシッププログラムに参加したいと考えたのは、2020年の頃でした。残念ながら、新型コロナウイルスのまん延のためCiRA研究インターンシッププログラムは中止となりましたが、2023年9月から1か月半の間、ついに参加する機会を得ました。

 アグイラルさんは米国ハーバード大学医学部の交換留学生として参加したマサチューセッツ総合病院での臨床研修を受けたときに、遺伝的要因によってどのように疾患が引き起こされるかについての研究に興味を持つようになりました。当時、フィリピンの聖トマス大学の医学部生でしたが、研究に費やす時間が限られていたため、卒業後に修士課程に進みました。現在は、フィリピン大学ディリマン校で分子生物学とバイオテクノロジーの修士号(理学)取得を目指しており、将来的には、母国フィリピン以外で独立した研究を行うため、海外で博士号を取得する計画です。

 「私の目標は、医学と分子生物学を組み合わせた研究をする研究室を持つことです。分子技術の応用に焦点を当て、遺伝子療法や細胞療法のような新しい治療法を開発したいと考えています」と彼は説明します。

 彼は、修士課程でクローニング注1)、遺伝子発現解析、バイオインフォマティクス注2)など、分子生物学の様々な技術をすでに取得しており、クヌート・ウォルツェン准教授未来生命科学開拓部門)の研究室でインターンシップ生として、幹細胞培養と遺伝子編集技術を学びました。

 「iPS細胞が誕生した場所で、iPS細胞技術を使って研究ができたことは、本当にすばらしい経験でした」とアグイラルさんは言います。この機会を最大限に活かすため、インターンシップの最長期間である6週間をCiRAで過ごし、CRISPR/Cas9というゲノム編集技術を臨床応用に使うための新しい方法を試しました。

 CiRAインターンシッププログラムの感想を聞くと、「人生を変える経験でした」と熱く語ります。アグイラルさんは、博士号を取得する前に、既成概念にとらわれず様々なアプローチで柔軟に科学的な問題に取り組めるような実験技術を身につけたいと考えていたそうです。「インターンシップの経験を経て、博士課程に向けての準備が整いました。ウォルツェン研究室で様々な国の人がいるチームの中で働けたことは、とても有益でした。異なる国の背景や文化を持った人々が科学的課題を解決するために一緒に研究をすることで、一体感を感じることができます」と述べ、博士課程でCiRAに戻ってくることを考えていると打ち明けました。

 研究室で新しいことを学ぶだけでなく、他にも素晴らしい経験をしました。アグイラルさんにとってインターンシップの中で最も記憶に残る瞬間は、「2012年のノーベル賞受賞者でありCiRAの名誉所長である山中先生と交流したことです」と、山中先生との写真を見せながら話しました。

 アグイラルさんは初めて日本を訪れましたが、食べ物は新しい文化を知るための第一歩と考えており、来日前から日本の食べ物についてしっかりと調べていました。そして京都の錦市場で食べたいと思っていた、ぬれおかきや豆乳ドーナツ、たい焼きなど、おいしかった食べ物の長いリストを自慢げに話してくれました。また、清水寺で夕日を眺めたり、二年坂の人気のスターバックスでコーヒーを飲んだり、嵐山で散策したりなど、心を癒やすすばらしい時間を過ごしたそうです。

 「研究でいいデータが取れたときなど、いいことがあったときは、自分へのご褒美に焼肉を食べました」とアグイラルさん。

 博士課程でCiRAに戻ってきて、良いデータを得て焼肉で祝う日を楽しみにしています。

注1)クローニング
細胞から特定の遺伝子を取り出して増やす操作のこと。

注2)バイオインフォマティクス
コンピュータサイエンスや計算機科学などの技術を応用して、生物学の問題を解こうとする学問。

(文(英語):ケルビン・フイ(CiRA研究推進室特定研究員)、翻訳:国際広報室)

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