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2024年10月18日
研究者や学生の頼れる"縁の下の力持ち"

上林 早苗 さん
"縁の下の力持ち"です。そんな上林さんに技術員の仕事について聞きました。
金子研究室(以下、金子研)が創設されて間もない頃から技術員としてお世話になっていて、今年で10年目になります。普段は、研究員さんや学生さんの手が足りないところ、主にiPS細胞の維持培養(分化していないiPS細胞のままで培養すること)やT細胞への分化誘導(iPS細胞などの未分化の細胞に試薬を与えて、免疫に関わるT細胞へ育てること)のお手伝いをしています。
CiRAに着任する前は、違う大学の研究室で働いていました。その研究室は、繊維を用いて血液から免疫制御に関わるタンパク質を除去して、その血液を体内に戻す研究をしていました。当時、私は血液の解析をしており、やっていたことは今の免疫系の実験に近かったですね。
金子研に入った当初は、実験ではなく発注業務など事務的補助が主でした。培養経験もなくて全くの初心者でしたので、今のように細胞の培養をするとは思ってもみませんでした。人手不足になった際に、金子先生が「細胞培養もぜひやってみて」とお声掛けくださって。「ぜひ勉強させてください!」とお願いしたら、しっかり教えてくださいました。それに加えて金子先生の何でもチャレンジさせてくださる心の広さのおかげで、なんとか今までやってこられました。
お仕事は大変ですか?
実験量が多かったり提出期限が迫っていたり大変なお仕事もありますが、私は忙しいのは嫌じゃないですし、金子研は環境が良く、他のスタッフと和気あいあいと相談しながらお仕事ができることをむしろ楽しく感じてしまいます。しかも優秀でやる気に満ち溢れている方ばかりなので、一緒にお仕事をしていると「精一杯お手伝いします!」という気持ちになります。

情報共有はしっかりと!
金子研はメンバー数が多く、技術員だけでも10人以上在籍しています。メンバーが多いとメールや情報量も多くなるのでメールを見落としたり、聞き逃しや伝え漏れがどうしてもありました。そのため、週1回のビジネスミーティングと週2回の技術員だけのミーティング、それらの議事録、メール、オンラインでタスク管理をするツールを使って、「何でも・誰にでも・とりあえず伝える」という姿勢を大事にしています。1人で黙っていると忘れてしまうこともいっぱいあるので。
大小問わず情報共有すると研究室全体が見えるようになって、すごく動きやすくなりました。1人1人の業務量がわかるので「手が足りない→手伝うね」とやり取りがスムーズになりましたし、1年に1回あるような業務を忘れることもありません。だから細かいことでも自分だけで「まあいっか」と終わらせずに、情報共有はしっかりしています。
実験は効率良く、ロスは極小に
最初の頃は自分で細かく書き込んだ実験手順書を作って、やり終わった作業の項目にチェックを入れて作業と照らし合わせながら確認していました。失敗したらスケジュールが1~2週間ずれ込んでしまったり、無駄な動きがあると作業が滞ったりするからです。間違いが起こる可能性はゼロじゃないですし、もし間違いがあっても気付けるように、分化誘導など使用する試薬が多いときは、今でも1つ1つちゃんとチェックしながら使っています。
プラスチック製品から輸入試薬に至るまで実験の必需品が値上がりしているので、極力ロスしないよう気を付けています。お金が無いと実験ができないので、ご支援・ご寄付いただいている方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

実験をする上林さん
今後の展望
今、金子研ではお片付けのプロをお招きして、研究室内の環境整備をするプロジェクトを計画しています。私もそのプロジェクトのメンバーに入れていただきました。どの研究室でもスペース不足や研究室内の整理整頓についてお悩みだと思います。目線の高さにある棚とか散らかりやすいじゃないですか。実験をする環境が散らかっていると作業が滞ったり、間違いやすくなったりします。毎日眺めている私たちは何も感じなくても、プロのご意見を頂くことで、より使いやすくなって研究がはかどる環境を作りたいと、今からとてもワクワクしています。
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取材・執筆した人:坪倉 由美
京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 堀田秋津研究室 テクニカルスタッフ