ニュースレター
Newsletter
ニュースレター
Newsletter
People
2026年6月11日
Chance Favors the Prepared Mind―幸運は準備された心に宿る
角南 理己 さん
「世のため、人のため」をサイエンスで叶える
ニューヨークに生まれ、4歳で日本へ帰国しました。その後、高校から単身でカナダへ留学し、トロント大学に進学しました。もともとは、政策や外交で国内外の架け橋となる父に憧れて国際関係の仕事を目指していました。しかし大学で免疫学に出会い、緻密に設計された人間の体のシステムに感動し、その理解を深めるおもしろさに引き込まれました。私がキャリアを考える上で大切にしている、「人や世の中の役に立つこと」と「グローバルに活躍すること」という二つの軸を、サイエンスの世界で追求していこうと決めました。
カナダ・トロント大学からCiRAへ
2018年、大学在学中に本庶佑教授のノーベル賞受賞が研究室で話題になりました。周囲に日本人が少ない環境の中で、同じ日本人の活躍を誇りに思ったことは今でも忘れられません。基礎免疫学を学ぶなら京都大学へ、そして山中伸弥教授のいるCiRAで研究をしたいと考えるようになりました。
濵﨑研究室を希望したのは、濵﨑先生の親しみやすい人柄と免疫学の研究内容に魅力を感じたからです。同じ女性研究者としても、多くの学びがあると直感しました。
基礎研究がつなぐ医学と社会貢献の形
現在は、新型コロナワクチンを接種した幅広い年代の方々にボランティアで採血のご協力をいただき、加齢に伴う免疫細胞の質や応答の変化と、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。体の中で起きている現象を自らの手で追究できる楽しさを得た一方で、出口の見えない実験に落ち込んだり、個人差によるデータや傾向のばらつきを解析する難しさに直面したりと、研究の厳しい側面も学びました。
また、採血の現場を担当した際に、「研究の役に立つなら」と遠方からお越しくださるご高齢の方々と接する機会がありました。皆さまのご厚意に触れたことで、自分の研究と社会のつながりを実感し、「新たな知見を還元すること」こそが、今の自分ができる貢献の形なのだと気がつくことができました。
タイトルの言葉は、私の座右の銘です。一つひとつの経験に真摯に向き合うことが、新たな可能性を開く環境や人との出会いにつながると信じています。今後もCiRAで得た経験を糧に、世界中のさまざまな場所でサイエンティストとして社会に貢献できるよう、努力を続けたいと思います。
-
取材・執筆した人:森井 あす香
京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 江藤浩之研究室
