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2026年10月8日
On-site Laboratory「京都大学・チューリヒ大学次世代医療ラボ」設立:CiRAとIREMの連携が新たな段階へ
2017年にスイスのチューリヒ大学 再生医学研究所(IREM:Institute for Regenerative Medicine)と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が共同研究契約を締結したことをきっかけに、再生医療分野で長年にわたる研究協力関係が築かれてきました。この9年間、CiRAとIREMは、研究交流や共同研究から、共著論文の発表、研究者の相互派遣、国際イベントの共同開催へと段階的に連携を深めてきました。
この連携は新たな段階を迎え、2026年9月18日に京都大学は、CiRAとチューリヒ大学による共同のOn-site Laboratory「京都大学・チューリヒ大学次世代医療ラボ」の設置を正式に承認しました。CiRAとIREMが代表部局を務めるOn-site Laboratoryとして、2026年10月から京都とチューリヒの両拠点で活動を開始します。細胞治療と遺伝子治療の研究を中心に、国際的な視野を持つ研究リーダーの交流・育成を進めながら、次世代医療の開発を目指します。
このOn-site Laboratoryの設置は、研究者が共に研究に取り組む環境へと発展させるもので、両大学への幅広い波及効果も期待されています。個別のプロジェクトや両大学への訪問を通じた研究室同士のつながりに加え、京都とチューリヒの研究者が、より大きな枠組みの中で組織や国の垣根を越えて研究に取り組めるようになります。最初の研究プログラムでは、CiRAが強みとするiPS細胞技術・病気を再現するモデルの作製・薬の候補物質の探索・ゲノム編集と、IREMが強みとする組織工学・遺伝子細胞治療・バイオ分野の起業・再生医療の研究成果を臨床応用につなげる研究を組み合わせます。具体的には、心臓や血管の組織を支える土台をつくるために設計した細胞の開発、3Dバイオプリント技術を用いてエクソソーム(細胞間の情報伝達に関わる小さな粒子)を組み込んだ細胞が組織へと育つための土台作製、そしてiPS細胞を使って病気を再現するモデルの構築に取り組みます。
On-site Laboratoryでは、研究に加え、次世代の研究者育成も重要な柱としています。若手研究者は、京都とチューリヒの両拠点で研究に取り組み、ゲノム工学やiPS細胞研究から、バイオファブリケーション(生体材料を使って組織を作る技術)、組織工学、臨床応用に向けた前臨床研究まで、幅広い分野の経験を積む機会が提供されます。また、教育活動では、iPS細胞の作製やゲノム編集に関する高度な技術研修に、起業やイノベーションに関する学びを組み合わせる予定です。これにより、若手研究者が、研究成果を生み出す方法だけでなく、その成果を新たな治療法へとつなげる道筋についても理解を深められるよう支援します。
CiRAとIREMは、最近設立された国際研究ネットワーク「i 2PARADIGM」でも、複数の国の連携機関と協力しています。このネットワークとともに、このOn-site Laboratoryの設置は、これまでの連携の節目であり、新たな出発点でもあります。約10年にわたって築いてきた信頼関係や研究交流、共通の目標を礎に、研究、人材育成、研究者の相互派遣をより密接に結びつける体制を整えます。今後、研究代表者や若手研究者の定期的な相互派遣を計画しており、こうした共同プロジェクトを通じて、若手研究者の共同育成や、研究協力を支えるスイスや日本をはじめとした国際的な研究助成の獲得につなげることが期待されています。
CiRA未来生命科学開拓部門のウォルツェン・クヌート准教授が、「京都大学・チューリヒ大学次世代医療ラボ」の実施代表者を務めるとともに、日本学術振興会(JSPS)コア・トゥ・コア・プログラム「i 2PARADIGM」の日本側コーディネーターも務めます。
