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2021年3月5日

米・グラッドストーン研究所との共催オンラインシンポジウムを開催しました

 2月9日(火)に、CiRAはアメリカ・サンフランシスコにあるグラッドストーン研究所との共催でオンラインシンポジウム「Kickoff Symposium for the iPS Cell Research Center at Gladstone Institutes」を開催しました。

 本シンポジウムは京都大学のオンサイトラボ事業の一環として2019年に設置された「グラッドストーン研究所 iPS細胞研究拠点」に友田紀一郎特定拠点准教授(CiRA未来生命科学開拓部門 山中伸弥研究室/グラッドストーン研究所研究員)が専任教員として着任し、現地での研究が本格的に開始したことを記念して開催されたもので、アメリカ、日本のみならずアジア、ヨーロッパ、中米など世界各地から400名を超える研究者や学生らが参加しました。

 グラッドストーン研究所のディーパック・スリバスタバ所長の開会挨拶を皮切りに始まった本シンポジウムでは、冒頭に京都大学の湊長博総長が「『グラッドストーン研究所 iPS細胞研究拠点』が、グラッドストーン研究所の研究者らとの強固な連携により、国境を越えた人類の健康と福祉に貢献することを切に願っています」と祝辞を述べ、CiRAの河村透 所長室長が京都大学のオンサイトラボの取り組みを紹介しました。

 続いての講演セッションでは、CiRAの山中伸弥所長(CiRA未来生命科学開拓部門 教授/グラッドストーン研究所上席研究員)と友田准教授、グラッドストーン研究所のトッド・マクデビット上席研究員、CiRAの高山和雄講師(CiRA増殖分化機構研究部門)の4名が登壇しました。

 前半では、山中所長が「国際協働で病気を克服する」というテーマでiPS細胞の医療応用に向けた研究が現在どこまで進んできたか、そして今後の展開について発表しました。友田准教授は「多能性幹細胞におけるNAT1介在性タンパク翻訳」と題し、NAT1というタンパク質が幹細胞の運命を制御するといった、生命現象を理解する上で重要な最新の知見を紹介しました。

 後半では、マクデビット上席研究員が「SARS-CoV-2感染の心臓への影響」、高山講師(増殖分化機構研究部門)が「iPS細胞とオルガノイドを用いたCOVID-19研究」と題し、現在世界的な脅威であるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対して、iPS細胞を用いて行っている病態再現研究や症状の個人差に関する研究、さらには創薬につながり得る基盤的な研究について紹介しました。COVID-19に関しては、世界中で急ピッチでワクチン等の開発や病態を探る研究などが行われていますが、iPS細胞技術も非常に有用なツールとして活躍しているようです。

 シンポジウムの終わりには、グラッドストーン研究所心血管研究部門のブノア・ブルノー 部門長が「本パートナーシップが、数多くの重要な疾患への理解に大きなインパクトを与えるような発見を促進することを楽しみにしています。そして、幹細胞分野だけでなくグラッドストーン研究所で研究中の他の分野にも貢献してくれることと信じています」と話しました。

 その後、山中所長が「このパンデミックの時期において国際的な協働はかつてないほどに重要になっています。このオンサイトラボの活動が、私の研究室を超えてCiRAとグラッドストーン研究所・カリフォルニア大学サンフランシスコ校、さらには日米両国の懸け橋となることを願っています」と話してシンポジウムを締めくくりました。

 シンポジウムの参加者からは「世界の研究者らが協働する国際的なオンサイトラボが立ち上がっているのは素晴らしい」、「講演者に感銘を受けた。このようなシンポジウムを今後も楽しみにしている」といった声が寄せられました。

 なお、本シンポジウムの内容はこちらより動画でご覧いただけます。

 今後も「グラッドストーン研究所 iPS細胞研究拠点」ではiPS細胞技術を用いた基礎研究を活発に進め、若手研究者の育成に励むとともに、学術交流(学学・産学)の機会を設け、研究推進を後押しするような活動も展開していきたいと考えています。

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