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2023年9月12日

倉敷市で一般の方対象のシンポジウムを開催しました

 9月3日(日)、倉敷中央病院と共催で、一般の方を対象としたシンポジウム「最先端科学を社会実装する ~倉敷で考える医療の未来~」を倉敷市で開催しました。当日は、良い天候に恵まれ、約1300名の方が会場の倉敷市民会館に足を運んで下さいました。YouTubeでも生配信をし、約560名の方が視聴してくださいました。

 本シンポジウムは、倉敷中央病院創立100周年事業の一環として、CiRAとの共催で開催されました。最初に大原記念倉敷中央医療機構 浜野潤理事長による開会の挨拶で幕を開け、倉敷中央病院 山形専院長、大原記念倉敷中央医療機構 大原謙一郎理事・会長、CiRAの川口義弥教授未来生命科学開拓部門)、山中伸弥名誉所長・教授未来生命科学開拓部門)が講演しました。その後、川口教授、山中教授および倉敷中央病院の若手医師らによるパネルディスカッションを行いました。

開会の挨拶をする浜野理事長

 山形院長は「これからの医療のかたち ─医療のエコシステムをどう作る─」と題し、倉敷中央病院が取り組もうとしている医療について講演されました。これからの超高齢化社会に対応しつつ、高度先進医療も推進していくために、"地域総合型医療"を構築し、医療施設間で情報や機器を共有したり、企業と連携したりなど地域医療においてエコシステムをつくる必要性をお話しされました。最後に、予防・先制医療などを活用し、自分自身で健康を守る重要性を強調されました。

医療のエコシステム構築に関して講演をする山形院長

 次に、大原理事・会長は、「哲学する経営者がiPS細胞と出会ったら」と題し、経営者視点から倉敷中央病院について講演されました。医療機関の経営者が、新しい医療技術を知った際に、すぐに取り入れるのではなく、いろいろな側面を考えて取り入れるかどうか検討するだろうと語りました。研究者、経営者、医療関係者、それぞれの考え方を尊重し、物事を決めていくことの重要性を述べました。

医療機関の経営について講演をする大原理事・会長

 続いて、川口教授は「外科医が出会ったiPSという細胞」と題し、講演しました。川口教授は、約30年前に臨床医として倉敷中央病院に4年間勤務していました。自身が膵がん研究を行いたいと思うようになったことや、iPS細胞をツールとして使い、膵がん研究につながる膵臓の発生学に携わるようになった経緯などを話しました。また、ヒトiPS細胞を用いてインスリン遺伝子異常の細胞を作製し、病態を解明し、その治療に効果を持つ化合物の探索を行っていることを紹介しました。

膵臓の発生学研究について話す川口教授

 最後の講演として、「iPS細胞 進捗と今後の展望」と題し、山中教授がiPS細胞を使った再生医療や創薬研究の進捗について紹介しました。また、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団の役割を話し、最適なiPS細胞を良心的な価格でとどけることを目標にしていることを述べました。最後に、iPS細胞研究のこれからについて話し、今後CiRAは、iPS細胞から組織や臓器を作り、AIやゲノム編集技術などを使って新たな研究に挑戦していくことを話しました。

iPS細胞を使った再生医療や創薬研究の進捗について話す山中教授

 講演の後に行われたパネルディスカッションでは、倉敷中央病院の長久吉雄外科部長がモデレーターを務め、川口教授、山中教授、倉敷中央病院の藤原崇志耳鼻咽喉科医長と今中智子血液内科副医長がパネラーとして登壇しました。

 長久外科部長からパネリストにさまざまな質問が投げかけられました。例えば、川口教授には、現在行っている研究がいつどのように社会実装されるかを、山中教授には国内の病院でiPS細胞治療が行われるようになったときに、必要とされる病院の機能や体制について質問しました。藤原耳鼻咽喉科医長と今中血液内科副医長にはそれぞれ、倉敷中央病院でどのような再生医療研究・治療がおこなわれているか、これから目指すことなどを伺いました。

 最後に、シンポジウムの締めくくりとして、髙橋淳所長の挨拶で幕を閉じました。

パネルディスカッションの様子
(左から長久外科部長、川口教授、山中教授、藤原耳鼻咽喉科医長、今中血液内科副医長)

閉会の挨拶をする髙橋所長

なお、山中教授の講演をCiRAのYouTubeチャンネルに公開する予定です。

また、CiRAでは今後も一般の方に向けたイベントなどを開催して参ります。
開催スケジュールや過去のイベントについてはイベントカレンダーをご覧ください。


*この記事の写真は、倉敷中央病院にご提供いただきました。

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