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2026年2月17日

【開催報告】第41回CiRAカフェ「『ミニ肺』で難病を解き明かす:iPS細胞による病態再現と肺の再生医療への挑戦」を開催しました

 2026年2月9日(月)14:00から、第41回CiRAカフェ「『ミニ肺』で難病を解き明かす:iPS細胞による病態再現と肺の再生医療への挑戦」を開催しました。非常に冷え込みの厳しい寒い日となりましたが、CiRAの講堂には、小学生から60歳以上まで19名の方にお集まりいただきました。東京や石川など遠方からご参加いただいた方もいらっしゃいました。

 今回のスピーカーは、臨床応用研究部門後藤慎平教授です。後藤教授は、「肺を創る」という究極の目標に向けた最先端の研究成果と、その背景にある医師としての想いについて語りました。

CiRAカフェ会場の様子

研究の原点:呼吸器内科医としての決意

 後藤教授はまず、自身が現在の研究を志した背景について語りました。呼吸器内科医として、肺の機能が徐々に失われる間質性肺炎(肺線維症)などの難病患者さんを診てきた経験がその原点です。 「進行した患者さんの治療法は肺移植ですが、日本での平均待機期間は約2年半(900日以上)と非常に長く、ドナー不足は深刻な問題です。こうした現状をiPS細胞の技術で変えたいという切実な願いが、研究の原動力になっています」と、医師としての想いを伝えました。

参加者に向けて現在の研究に至る流れを紹介する後藤慎平教授

iPS細胞で再現する「肺」の基礎

 続いて、肺の構造とiPS細胞の活用についての解説がありました。肺はガス交換を担う「肺胞」と、異物を排出する「気道」の2つの領域で構成されています。肺胞の表面積はバレーコート半面分(70〜100㎡)にも及ぶ驚異的な広さを持っていますが、後藤教授らはiPS細胞からこれらの細胞を効率よく作り出し、「肺胞オルガノイド(ミニ肺)」を作製することに成功しました。

3つの最先端研究トピックス

 イベント後半では、iPS細胞から作製した「肺胞オルガノイド(ミニ肺)」を活用した3つの最新トピックスが紹介されました。具体的な3つの研究成果がストーリー仕立てで紹介されました。

  1. 病態再現と創薬:患者さん自身のiPS細胞からミニ肺を作り、体の中で起きている「肺の線維化(硬くなる現象)」を培養皿の中で再現。これを用いて、新しい治療薬の候補を探る取り組みを紹介しました。
    CiRAニュース 2023年9月13日
  2. 新型コロナウイルス研究:肺の細胞を空気と培養液の両方に触れさせる「2.5次元培養」という独自技術を開発。変異株(デルタ株やオミクロン株)ごとに肺のどこへ感染しやすいかを、このモデルで詳細に分析した成果が語られました。(CiRAニュース 2024年3月29日
  3. 工学との連携「気道チップ」:工学研究科と協力し、微細なチップ上で、異物を排出する「線毛(せんもう)」の動きを再現。難病の診断や治療薬開発への応用が進んでいます。(CiRAニュース 2022年9月22日
未来への展望

 最後に、iPS細胞を用いて「肺を創る」という究極の目標が語られました。現在はマウスへの移植による機能検証の段階ですが、将来的には個々の患者さんに合わせた「個別化医療」を実現し、希少疾患に苦しむ人々へ希望を届けたいという展望で締めくくられました。

 質疑応答では小学生を含めて多くの方からご質問をいただき、一つ一つ丁寧に後藤教授が回答しました。

 参加者からは「新薬の開発や感染症の病理性の実験等、iPS細胞のすごさを知ることができた。」「将来自分がしたい研究にもこんなことができたらいいなという想像もできた。」といった感想が寄せられました。

 CiRAでは今後もこうしたイベントを通じて、研究の最前線と研究者の想いを伝えてまいります。

参考:
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