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2024年4月19日

学生CiRAツアー「CiRAで学ぶ」を開催しました

 2月26日(月)、学生CiRAツアー「CiRAで学ぶ」を開催し、iPS細胞研究に関心のある中高生や大学生、約20名が参加しました。

 CiRAでは、基礎から応用までさまざまな分野のグループが研究をしています。研究グループには、リーダーである主任研究者のほか、研究員やテクニカルスタッフ、事務系の作業を担当するスタッフ、大学院生がいます。CiRAでは、京都大学大学院医学研究科の大学院生を受け入れています。

 CiRAで学ぶ大学院生は、日々どのようなことを研究し、どのような研究生活を送っているのでしょうか?今回のイベントでは、実際にCiRAで研究をしている医学研究科の大学院生5名に、現在取り組んでいる研究や研究室での生活などについて紹介してもらいました。

1. 再生医療に理学療法を取り入れる

 三木麻有甫さんは、理学療法を専攻していた学部生の頃に、櫻井英俊准教授の研究室の研究員の方の講義を受けました。櫻井研究室は、筋ジストロフィーの再生医療研究に取り組んでいます。講義のなかで、筋ジストロフィーなどの再生医療を臨床で提供するときは、リハビリテーションなど理学療法を組み合わせることで治療効果を高めることができるという考えを聞き、CiRAでの研究に関心を持ったそうです。

 現在、三木さんは、当時の講義で知った「筋ジストロフィーへの細胞移植治療とリハビリテーションの併用効果」について、実際に自身のテーマとして研究を行っています。

三木麻有甫さん

2. 病気の治療につながる研究がしたい

 同じく、櫻井研究室で研究をしている岸本拓実さんは、学部生のころは他大学でiPS細胞を用いた基礎的な研究をしていました。当時の病院実習で筋ジストロフィーの患者さんの検査に立ち会ったことをきっかけに、患者さんの治療にもっと役立つような研究がしたいと思うようになったと言います。

 現在は、患者さんから採取した細胞をもとに作製したiPS細胞を使って、筋ジストロフィーという病気の仕組みを明らかにしようとCiRAで研究しています。岸本さんは、CiRAでは多様な専門性をもった人が、iPS細胞という一つの共通項のもと集まっていて、研究のことでわからないことなどを気軽に相談したり、研究についてディスカッションできると語っていました。

三木麻有甫さん

岸本拓実さん

岸本拓実さん

 三木さんと岸本さんは、研究室も、対象とする病気も同じですが、それぞれ異なるテーマで「iPS細胞研究」に取り組んでいます。病気や臓器、手法など、自分の関心のあることを、どんなアプローチで研究したいのか、それによって実際の研究も大きく変わってくるようです。

3. iPS細胞でゲノムの意味を解き明かす

 ウォルツェン・クヌート准教授の研究室で研究している丹羽諒さんは、個人のゲノム情報を解析し、iPS細胞で遺伝病の病態の再現に取り組んでいます。iPS細胞は、もとになる細胞を提供した人(ドナー)のゲノム情報を保持しています。そのためiPS細胞は、再生医療だけではなく、遺伝疾患の研究にも非常に有効なツールです。丹羽さんは、正確なゲノム編集技術とiPS細胞技術を組み合わせることで、ゲノムがもつ情報の意味を探索する研究を行っているそうです。

 ウォルツェン研究室は、リーダーがカナダ出身ということもあり、国際色豊かなメンバーが集まっています。ラボのなかでは英語で会話することが多く、日本にいながら海外留学のような研究生活を送ることができ、一つの魅力になっているそうです。

丹羽諒さん

4. iPS細胞で希少疾患を研究する

 小森美郷さんは、齋藤潤教授の研究室でiPS細胞から白血球の一種である好中球を作製する研究を行っています。齋藤潤研究室は、希少性難治性疾患の患者さんからiPS細胞を作製し、病気の部位の細胞を作ることで、病気の仕組みや新しい治療法の研究などに取り組んでいます。

 好中球は、血液中の白血球の6割を占める細胞で、生体から採取しても長期に培養できず、詳細な解析が困難です。小森さんはiPS細胞から好中球を作製することでこの課題を克服し、好中球の研究に取り組んでいるそうです。

iPS細胞は、再生医療のためだけでなく、幅広い目的の研究に利用されています。遺伝情報の個人差にどのような意味があるのか、希少疾患の研究などはその一例ですが、それぞれiPS細胞のもつ特徴が研究に活かされていることがわかります。

小森美郷さん

丹羽諒さん

小森美郷さん

小倉理奈さん

5. 臨床から研究の世界へ

 小倉理奈さんは、CiRAに来る前、研修医として病院で従事していました。担当していた患者さんの治療を行うなかで、幹細胞を制御して治療を行うことに関心をもちました。小倉さんは、腎臓、肝臓、膵臓の病気を対象に、新しい治療法開発を目指した細胞移植、臓器の構築、病態解明、治療薬の探索など多角的な研究を展開している長船健二教授の研究室で研究に取り組んでいます。

 小倉さんのテーマは、3つの臓器のうち膵臓をターゲットに、たくさんある化合物のなかから期待する機能をもつ薬を探索することだそうです。CiRAでは、イベントやセミナーなど専門知識を勉強したり、ラボの人や他の分野の人と交流できたり、また豊富な実験機器が揃っていることなど、研究するための環境が充実していると感じていると語っていました。

小倉理奈さん

参加者の質問に応じるCiRAの大学院生

 大学院生の発表後、参加者は研究や進学について質問し、研究棟内を見学しました。5名のCiRA大学院生は、自身の作業スペースや細胞培養を行う実験室、リフレッシュスペースなどを参加者に案内し、研究環境や生活について説明していました。

 イベント終了後のアンケートでは、「同じiPS細胞を扱っていてもそれぞれ研究分野が異なり、さまざまな病気に対して創薬などを取り組んでいることがよりわかった」「オープンラボで実験している様子がよかった」などのコメントが寄せられました。

 CiRAでは今後も、ニュースレターやイベント、SNS(X:旧TwitterFacebookInstagram)などを通じて、最新の研究成果やCiRAで研究に携わるみなさんをご紹介します。

  • 大学院生としてCiRAで研究することに関心のある方はこちらをご確認ください。

  • 各研究室の研究内容の概要をご覧いただけます。

  • 研究者や研究について紹介する記事を掲載しています。

  • イベントの開催実績や今後の開催予定はこちらからご覧いただけます。新規イベントについては、SNSやニュースメールで順次お知らせしています。

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