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2017年10月11日

【開催報告】生命倫理シンポジウムを開催しました

 CiRA上廣倫理研究部門は、公益財団法人上廣倫理財団と共催で、10月2日(月)に京都大学百周年記念館百周年記念ホールで、 上廣倫理財団設立30周年記念出版「科学知と人文知の接点」シンポジウム「社会とともに考えるiPS細胞研究と生命倫理」を開催しました。

 このシンポジウムは、『科学知と人文知の接点―iPS細胞研究の倫理的課題を考える』 (京都大学iPS細胞研究所 山中伸弥監修・上廣倫理研究部門編、弘文堂)の出版を記念して開催されたものです。 当日は、同書に寄稿していただいた科学者、人文社会学系の研究者、行政官、そして当部門員が、一般の方々とiPS細胞研究の倫理的課題について考える機会となりました。

 シンポジウムは、4名のCiRA研究者による講演と、5名の研究者らによるパネルディスカッションの2部構成で行いました。

 第1部では、山中所長・教授が「iPS細胞がひらく新しい医学」というタイトルで、iPS細胞についての説明と現在CiRAで取り組んでいる「iPS細胞ストックプロジェクト」と「iPS細胞を用いた創薬」について紹介しました。


開会の挨拶をする藤田准教授・部門長


講演をする山中伸弥教授

 続いて、上廣倫理研究部門の3名の研究者が講演しました。藤田みさお部門長・准教授は 「上廣倫理研究部門における研究活動と展望」というタイトルで、当部門で取り組んで来た研究の紹介と研究成果の情報発信について報告を行いました。 八代嘉美准教授は「iPS細胞の責任ある研究・イノベーションに向けたコミュニケーション」というタイトルで2012年と2015年に日本再生医療学会会員と一般の方を 対象に行った再生医療に関するイメージ調査やマスメディアでの「再生医療」の取り扱われ方についての分析結果について報告を行いました。 鈴木美香研究員は 「人を対象に研究をするということ」というタイトルでiPS細胞研究を社会の中で適切に実施するためには、誰もがどこかでiPS細胞研究に携わっているという意識をもって考えることが重要であり、 そのきっかけとなることをめざし作成した小冊子「幹細胞研究ってなんだ」の紹介や、幹細胞研究者が自らの行動基準を考えることを促すプログラムの開発など、 これまでの取組みについて報告しました。

 第2部のパネルディスカッションは、三成寿作准教授(上廣倫理研究部門)による進行で行われました。 はじめにCiRA内外の研究者らに専門領域の視点から「科学知と人文知との接点」を主題として、プレゼンテーションを行っていただきました(表)。

氏名(敬称略) タイトル
児玉聡准教授(京都大学大学院文学研究科) 生命倫理学の役割
斎藤通紀教授(京都大学大学院医学研究科) 多能性幹細胞からの生殖細胞作成研究の動向
澤井努研究員(上廣倫理研究部門) 多能性幹細胞からの生殖細胞作成研究の動向
八田太一研究員(上廣倫理研究部門) 調査研究の役割
星野利彦参事官(内閣府政策統括官付) 科学知と人文知の融合-科学技術政策における展開と生命倫理の制度化の萌芽-


第2部のパネルディスカッションの様子

 各登壇者のプレゼンテーションを踏まえて、「iPS細胞の可能性と意義、倫理的課題」「科学知と人文知の接点についての重要性と現状の課題」「専門家の役割と責任」について意見が交わされました。

 また、当日は時間の都合上お答えできませんでしたが、会場から「iPS細胞研究が進めばES細胞研究は不要になるのでは?」「世界中の研究者が集まって『生命倫理』について話し合うディスカッション、ミーティングの機会はありますか?」「iPS細胞から生殖細胞が作れることについてどこまで認められると考えておられますか?」という質問がありました。

 最後に、田渕敬一准教授(CiRA医療応用推進室)による閉会のあいさつで、盛況のうちに終了しました。


シンポジウム関係者による記念撮影

 当日は、あいにくの雨でしたが約400人の方にご参加いただきました。ご参加いただいた方からは、「iPS細胞の論文発表から現在までの経過、CiRAでの取り組みが理解できてよかった」「(今回のシンポジウムに参加して)生命倫理の基礎について学びたいと思った」「今までは、iPS細胞の科学的可能性についてのみに興味を持っていたが、今回の講演での『倫理』面の指摘は有意義であった」という感想をいただきました。

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