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2024年1月12日

オンラインCiRAツアーで高山研究室を紹介しました

 9月22日(金)に、オンラインでの研究棟見学会「オンラインCiRAツアー」を開催しました。今回は、シャーレ(培養皿)の中でヒトの体内の環境を再現する「仮想人体モデル」の開発に取り組んでいる増殖分化機構研究部門高山和雄講師の案内のもと、国際広報室の三澤和樹サイエンスコミュニケーター(SC)が研究室を訪ねました。当日のライブ配信・オンデマンド配信を含めると合計30名程度の方にご覧いただきました。

 CiRAツアーの前半は、高山研究室が仮想人体モデルを作製するツールとして使用している「マイクロ流体デバイス」を紹介しました。

 マイクロ流体デバイスは、縦3cm、横2cm、高さ数ミリの無色透明のシリコン製のブロックで、幅1mmほどの流路があります。このブロック2枚を重ね合わせ、ブロックの流路の部分に多孔性のフィルム(膜)を貼り、上下を仕切ります。細胞はこの膜を通過できませんが、培養液の成分や細胞が分泌する物質などは行き来できます。細胞を流路に流し込み、流路の中で培養することにより、細胞を3次元的に配置することが可能になります。高山研究室では、細胞を流し込んだマイクロ流体デバイスを「臓器チップ」と呼んでいます。

高山研究室で作製されたマイクロ流体デバイス

 オンラインツアーの前半では、高山研究室のテクニカルスタッフ・小杉佳織さんに実際にマイクロ流体デバイスを作る作業を行なってもらいながら、高山講師が作製手順を説明しました。まず流路を形どったオリジナルのモールド(型)に、無色透明の液体のシリコンを流し込み、加熱により硬化させ、シリコンブロックを作ります。1つのブロックの四隅に培養液を入れるための穴を開け、多孔性のフィルムを流路に貼り、もう1つのブロックを下側から重ね合わせて完成です。デバイスを1個作製するには、4〜5日かかりますが、複数の型を使用したり、作業工程を並行して行うことで、1週間に数十個から百個を作ることができるそうです。

マイクロ流体デバイスを使って作る仮想人体モデル

 このデバイスの流路に細胞を流し込みます。そして空気や培養液を入れることによって、肺の中の気流や、血管の中の血流を再現することができると言います。さらに、シリコンが柔らかい素材なので、実験によっては、デバイスを伸び縮みさせることにより細胞に機械的な刺激を加えることもできるとのことです。

臓器チップについて説明する高山講師(左)と
三澤サイエンスコミュニケーター

 こうした特徴を活かして、マイクロ流体デバイスの中で、体の各部位の細胞を培養することで、それぞれの臓器に特有の状態を再現できます。これを「臓器チップ」と呼んでいます。高山研究室では、仮想人体モデルとして、ヒトの細胞を用いた肝臓や気道などの臓器チップを作り、人体に対するウイルスや薬の作用を正確に評価することを目指した臓器チップの開発を行なっています。

臓器チップ研究について説明をする大学院生の出口清香さん

 CiRAツアーの後半では、マイクロ流体デバイスを用いた研究について、大学院生の出口清香さんが説明しました。

 その例として、上側の流路に肝細胞を流し込み、下側の流路に胆管細胞を流し込むことで、肝臓の中の胆管を再現した「肝臓チップ」を作製し、細胞の相互作用などを再現した研究を紹介しました(CiRAニュース 2023年3月8日)。

研究内容を説明する出口大学院生(左)と
三澤サイエンスコミュニケーター

 終了後に行ったアンケートでは、「普段なかなか触れることのない世界のことを知ることはとても興味深い」、「臓器チップを使った様子を見せていただき、細胞レベルの仕組みを観察したり実験ができる事などが理解できました」といった感想をいただきました。

 当日の様子はCiRAのYouTubeチャンネルで公開していますので、詳しく知りたい方は以下のURLよりご覧ください。

 今後のイベント情報についてはCiRAの公式SNS(TwitterFacebook)やイベントカレンダーでも紹介しています。

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