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2026年6月15日

イベント報告:iPS細胞20周年記念 公開シンポジウム「iPS細胞と描く医療のミライ」

 5月31日(日)、JR九州ホール(福岡市)において、iPS細胞20周年記念 公開シンポジウム「iPS細胞と描く医療のミライ」を開催しました。当日は、良い天候に恵まれ、389名の方が会場に足を運んで下さいました。

会場の様子

 本シンポジウムは、江藤浩之所長・教授による開会の挨拶・講演で幕を開けました。続いて長船健二副所長・教授堅田明子准教授井上治久所長補佐・教授がそれぞれの研究成果や今後の展望について講演し、最後に講演者によるトークセッションを行いました。

開会の挨拶をする江藤教授

 江藤教授は「CiRAがひらく新しい医療の可能性」と題し、CiRAの現在の研究成果と今後の展望について紹介しました。パーキンソン病に対するiPS細胞由来神経細胞移植の条件及び期限付承認をはじめ、自身が研究しているiPS細胞から作製した人工血小板などの再生医療研究や、患者さん由来のiPS細胞を活用した創薬研究の進展についても説明しました。また、次世代iPS細胞や遺伝子治療との融合など、CiRAが目指す未来の医療について話しました。

CiRAの研究概要について講演する江藤教授

 次に、長船教授は「iPS細胞でめざす新しい腎臓病治療」と題し、iPS細胞を使った腎臓病・糖尿病・肝疾患の治療法の開発について講演しました。現在、これらの疾患には移植以外の根本的治療法が限られ、深刻なドナー不足が課題となっています。iPS細胞から腎細胞、膵島、肝細胞を作製する技術や、それらを用いた再生医療・創薬研究の進展を紹介しました。

iPS細胞を使った腎臓病研究について話す長船教授

 続いて、堅田准教授は、「脳のしくみを知り神経疾患に挑む」と題し、脳脊髄液を産生し脳内環境を維持する「脈絡叢みゃくらくそう」の研究について講演しました。脈絡叢は脳の発達や恒常性維持に重要な役割を果たしますが、加齢によって機能が低下し、認知症などの神経疾患に関与する可能性があります。iPS細胞から作製した脈絡叢オルガノイドを用いて、神経発達障害や認知症の病態解明、個別化創薬への応用を目指す研究について紹介しました。

脈絡叢の研究について講演する堅田准教授

 最後の講演として、井上教授は「iPS細胞が切り拓く神経難病治療の未来」と題して、iPS細胞を使ったALS(筋萎縮性側索硬化症)の病態解明と治療薬開発について講演しました。患者さん由来のiPS細胞から病態モデルを作製し、薬剤スクリーニングにより、薬の候補を見つけ、臨床試験に進んでいることを説明しました。さらに、AIを活用した遺伝子データ解析やゲノム編集技術を使った研究にも取り組み、神経難病治療の実現を目指していることを説明しました。

iPS細胞を使った神経難病研究について話す井上教授

 講演後に行われたトークセッションでは、国際広報室の和田濵裕之サイエンスコミュニケーターがモデレーターを務め、講演者4名に対し、参加者から事前に寄せられた質問を投げかけました。iPS細胞を用いた治療の実用化や安全性、医療費などに関する質問に加え、「iPS細胞から作ったミニ臓器は、体内で他の臓器とつながるのか」「神経細胞が再生する可能性はあるのか」といった素朴な疑問にも、研究者がわかりやすく回答しました。

トークセッションの様子

質問を投げかける和田濵サイエンスコミュニケーター

 また、会場のホワイエでは、iPS細胞の観察や教材アプリ「iPSマスター」の体験コーナーのほか、CiRAの研究室紹介ポスターやiPS細胞の基礎を紹介するポスターを展示しました。研究室紹介ポスターの前には研究者や学生が立ち、参加者からの質問に丁寧に答えるなど、活発な交流が行われました。

人工血液に関する質問に答える
江藤研究室の大学院生 中村英美里さん

腎臓病の研究について説明する
長船研究室の豊原光佑研究員

脈絡叢に関する研究を紹介する
堅田研究室の山下りえ研究員

神経難病研究に関する質問に答える
井上研究室の大学院生 足立雅浩さん

展示コーナーの様子

 参加者アンケートでは、「専門的な内容をわかりやすく学ぶことができた」「研究者の先生方から直接話を聞くことができてよかった」「iPS細胞研究や医療の未来に希望を感じた」といった感想が多数寄せられました。

なお、講演やトークセッションについては、CiRAのYouTubeチャンネルに公開する予定です。

また、CiRAでは今後も一般の方に向けたイベントなどを開催して参ります。

開催スケジュールや過去のイベントについてはイベントカレンダーをご覧ください。

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