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2025年10月15日

学生CiRAツアー「CiRAで学ぶ」を開催しました

 昨年に続けて2回目となる学生CiRAツアー「CiRAで学ぶ」を3月1日(土)に開催しました。このイベントでは、CiRAの大学院生や研究者がCiRAに来たきっかけや現在の研究テーマ、CiRAの研究環境や日々の生活について紹介しました。iPS細胞の研究に関心のある高校生や大学生など、34名にご参加いただきました。

 イベントは、実際の研究施設の見学から始まりました。案内は、CiRAで研究をしている大学院生の金丸ゆりさん(櫻井研究室、博士1年)、工藤和哉さん(下林研究室、修士1年)、三好悠太郎さん(吉田研究室、博士4年)が担当しました(学年、所属はいずれもイベント当時)。参加者は、開放的な実験スペースのオープンラボとガイドの大学院生の自身のデスク、iPS細胞などを扱うための設備が整った培養室、細胞の解析などに用いる機器などを見て周りました。

参加者が大学院生から説明を受け、オープンラボ(左)や培養室(右)を見学する様子

 見学が終わると、3名の大学院生がCiRAで研究をしようと思った経緯や研究テーマについて説明しました。

 小児科医でもある金丸さんは、現在、博士課程の大学院生として櫻井英俊准教授の研究室で筋疾患の研究を行っています。大学生の頃、山中伸弥教授のノーベル賞受賞や再生医療の研究に関する報道なども見聞きしていたことや、骨格筋の病気に関心があったことから、櫻井研究室を見学して、大学院への進学を決めたと言います。

 患者さんの細胞からiPS細胞を作ると、そのiPS細胞をさらに病気の特徴をもった細胞にして詳しい研究や解析に利用することができます。金丸さんは、小児の筋疾患であるポンペ病の治療法の開発や病気の詳細な研究に取り組んでいるそうです。

金丸ゆりさん

 下林俊典准教授の研究室で研究を行っている工藤和哉さんは大学生の頃に、タンパク質などの物質の居場所が細胞内で区分される「相分離」という現象に興味をもちました。学部生だった2023年夏、CiRAのインターンシップに参加し(CiRAニュース 2023年10月17日)、下林准教授と研究テーマについて議論して、2024年に修士課程の大学院生としての研究をスタートしました。

 現在は、どのようにして体細胞がiPS細胞へと初期化されるのかという問いに対して、細胞内の相分離現象をとらえることで明らかにできないかと研究に取り組んでいます。この研究が進むことで、iPS細胞になりやすい体細胞の条件などが明らかにできるのではないかと考えているそうです。

工藤和哉さん

 三好悠太郎さんは、もともと循環器内科の医師として働いていました。循環器内科にかかわる研究ができる場所として、大学院の進学前に、吉田義紀准教授の研究室を訪ねて、研究環境や設備、研究の様子を見て、吉田研究室で研究することを決めたそうです。

 三好さんは、博士課程での研究を通じて、心臓を覆う「心外膜」と呼ばれる部位の細胞をiPS細胞から作製し、さらにSMAD3とよばれる特定の遺伝子のはたらきを抑えることで「心臓周皮細胞」へと変化することを明らかにしました。この成果は、昨年9月に論文として発表されました(CiRAニュース 2024年9月27日)。

三好悠太郎さん

 イベントの後半では、小山明助教(山本拓也研究室、イベント当時は研究員)と堀田秋津准教授が参加し、現在、取り組んでいる研究や研究者としての生活などについて説明しました。

 小山助教は、iPS細胞を使った基礎研究のひとつとして、山本研究室で進めている研究について紹介しました。遺伝子の発現パターンを調べることが、細胞の性質を知ることにつながることや、研究室では発生や老化など、細胞の遺伝子発現パターンの変化や制御のしくみに着目して研究していることなどを紹介しました。

 堀田准教授は、学生から研究者になるまでの自身の進路をふりかえった後、研究室を運営する研究者としての生活やキャリアの考え方などを紹介しました。最後に、好奇心や行動力、そして自分を信じて研究を継続する根気強さが研究者に求められると参加者に向けて訴えました。

小山明助教

堀田秋津准教授

 参加者からは、「研究している学生や研究者のバックグラウンドが知れてよかった」「研究に対する熱意が高かった」「(大学院生から研究者まで)幅広い段階でのお話を聞くことができたのでよかった」などの感想をいただきました。

 CiRAには基礎から応用まで幅広いiPS細胞研究を進めるグループが集まっています。大学院生もこれらの研究を進める大切な一員として活動しています。CiRAでは、インターンシッププログラム大学院説明会などの各研究室を知ることのできる機会、入学後に研究に専念できる環境を支援するためのiPS細胞研究基金を活用した修学支援制度などがあります。CiRAのホームページでもさまざまな情報を紹介しています。ぜひ参考になさってください。

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